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研究内容

 光通信システムは、その高速性・広帯域性を活用し、ICTインフラの中核として発展を遂げ社会に浸透してきました。その一方で、4K/8K等の高精細映像の配信、IoTの普及、ビッグデータ解析や5Gモバイルシステムの進展により、ネットワークを流れるデータは今後もますます増大していくものと想定されています。拡大の一途を辿る通信トラフィックを効率よく収容するとともに、多様化するICTサービスに対応するためには、柔軟な通信技術としてのさらなるイノベーションが求められています。
 本研究室では、光時分割多重方式による1チャネルあたりテラビット級の超高速光伝送、QAMと呼ばれるデジタルコヒーレント光伝送、ならびにそれらを融合した超高速・高効率光伝送技術の研究開発を進めています。さらに、5G、Beyond 5G等の新たなICTサービスの進展を見据えて、デジタルコヒーレント伝送のアクセスネットワークおよびモバイルフロントホールへの展開と、光通信と無線通信とを同じ電磁波として融合する新領域の開発を目指しています。

1.超高速・高効率光伝送および信号処理に関する研究

 サブピコ秒の超短光パルスを時間領域で多重化する光時分割多重(OTDM: Optical Time Division Multiplexing)伝送技術の研究に取り組んでいます。最近では、新たな波形整形技術(光ナイキストパルス)を用いて10.2 Tbit/s-300 kmの超高速伝送に世界で初めて成功しています。

10Tbit/s信号の生成と伝送
10Tbit/s信号の生成と伝送
超高速光通信実験室
超高速光通信実験室

2.デジタルコヒーレント光通信と光モバイルフロントホールへの展開

 無線通信技術である直交振幅変調(QAM: Quadrature Amplitude Modulation)方式や、直交周波数分割多重(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を光通信に応用し、周波数利用効率を10倍以上向上させる研究に取り組んでいます。最近では、世界に先駆けて4096値の超多値QAM伝送を達成しています。また、このデジタルコヒーレント伝送技術は無線通信との親和性が高いことから、Beyond 5Gに向け光と無線とを同じ電磁波として融合した新たなアクセスネットワークの実現を目指しています。

4096 QAM信号室
4096 QAM信号
光通信と無線通信のコヒーレントな融合に向けて
光通信と無線通信のコヒーレントな融合に向けて

3.超高安定レーザと光計測・周波数へ応用

 次世代の超高速光通信用光源として、位相及び繰り返し周波数を同時安定化したパルスレーザ、アセチレン分子吸収セルを用いて周波数安定化したCWレーザの研究を行っています。また、これらのレーザがもつ高いコヒーレンスを活かして、高精度な光標準や地震計・津波計などの高精度干渉計測への応用にも取り組んでいます。

 産学連携で開発したGHz帯ピコ秒パルスレーザ(左)およびアセチレン周波数安定化レーザ(右)
産学連携で開発したGHz帯ピコ秒パルスレーザ(左)およびアセチレン周波数安定化レーザ(右)
安定化レーザと光ファイバを用いた地殻変動・津波の面的分布計測ネットワーク
安定化レーザと光ファイバを用いた地殻変動・津波の面的分布計測ネットワーク
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